リスクアセスメントは、職場の潜在的な危険性や有害性について調査し、これを除去、低減するために行う一連の手法で、みなさんが安全で健康に働いていくうえでは欠かせない取組みといえます。地方公共団体においても積極的に実施されることが望ましいですが、方法がわからないなどの理由から適切なリスクアセスメントが行われていないケースもあるのではないでしょうか。
どのような職場にも、多かれ少なかれ健康障害に結び付くリスクが存在します。転倒による骨折、切傷、メンタルへルス不調、化学物質による中毒、調理による熱傷など。このような健康障害を防ぐための手法がリスクアセスメントなのです。
公務災害の発生状況は、増減はあるものの長期的にみると緩やかな減少傾向にありますが、近年、増加傾向に転じたこともあり、さらなる災害の減少に向けた取り組みを促進していくことは喫緊の課題です。
また、令和5年4月から「化学物質の自主的管理」に関する改正法令が順次施行され、事業場における化学物質管理は大きな転換期を迎えました。これは、従来の「法令順守型」から「自立的な管理」へと移行するための施策で、化学物質を扱うほぼすべての職場において対応が必要になる可能性があります。この「自立的な管理」の基本も「リスクアセスメント」なのです。
本書は、リスクアセスメントの考え方、基礎知識から基本的な手順、望ましい実施期間、手法やその効果までを、リスクアセスメントを初めて行う担当者にもわかりやすく伝えるために作成されました。リスクアセスメントは難しい、わからないと思っているリスクアセスメント担当の方にこそ読んでいただき、地方公共団体で行われる安全衛生管理の向上の一助となれば幸いです。
監修:城内 博
独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
化学物質情報管理研究センター センター長
〇リスクアセスメントの考え方と目的
〇リスクアセスメントの必要性と効果
〇リスクアセスメントの導入と管理体制
〇指針の位置付けと法令との関係
〇実施の流れ
〇(1)ハザードの特定
〇(2)リスクの見積もりと評価
〇(3)リスクの低減措置
〇(4)記録と周知
〇新たな化学物質規制
〇化学物質の危険性
〇リスクアセスメントの準備
〇リスクアセスメントの実施体制
〇(1)ハザードの特定
〇(2)リスクの見積もりと評価
〇(3)リスクの低減措置
〇さらなる自律的な管理に向けて
〇化学物質管理に関する資料
〇自律的な管理のチェックリスト
2024年12月
B5 29頁 4色刷り