「職場巡視」とは、職場や作業場などを実際に見て歩き、問題点を見つけて改善することを目的に行う安全衛生管理の基本となる活動です。職場巡視により自分たちの職場環境を確認し見つめ直すことは、危険・有害要因を災害が起こる前に把握することとなり、公務災害や健康障害を未然に防ぐことにつながります。
誰もが安心して働き続けられる職場環境を守るうえで、職場巡視は重要な役割を担っているといえるのです。
本書では、職場巡視の基礎知識から巡視の具体的な手順、巡視後の措置までを巡視の実務者にわかりやすいように解説しています。また、職種別のチェックリストの例も掲載していますので、職場の実態に合わせた形に変えてご活用ください。
本書が、地方公共団体で働くみなさんの、安全で快適な職場環境形成の一助となれば幸いです。
監修:岩崎 明夫
産業医科大学 産業生態科学研究所 作業関連疾患予防学研究室 非常勤助教
同ストレス関連疾患予防センター 特命講師
安全と健康が確保された快適な職場環境で業務を行うことは、働くすべての人の願いであり、事業者にはこの安全と健康が確保された快適な職場環境の維持に配慮する義務があります。しかしながら、安全衛生上の措置は事業者が一方的に行えばいいというものではなく、働く人の協力を得てその意見を聴き、洗い出された問題点について効果的な対策を講じる必要があるのです。
この事業者が講ずべき事業場の安全衛生対策について、労使協力のもと事業場における問題点を調査審議し、労働者が事業者に意見を述べるために設けられている機関が「安全・衛生委員会」です。
安全・衛生委員会は、事業場の安全衛生活動の中核として重要な役割を担う機関ですが、専任の職員がいない、議題のマンネリ化などの形骸化が指摘されることもあり、より一層活発な活動が求められているところです。
本書では、地方公共団体の各事業場において、より快適な職場環境の形成を目的に安全衛生活動に取り組んでいただけるよう、安全・衛生委員会の委員及び事務局担当者を対象として安全・衛生委員会の基礎知識から運営方法、関係法令や指針・通達までをわかりやすくまとめました。初めて安全・衛生委員会に携わる際の参考図書として、またより効果的で円滑な安全・衛生委員会を運営するためのヒントとして、ぜひご活用ください。
地方公共団体を取り巻く環境が厳しさを増している中で、職員がその能力を十分に発揮するためには、職場環境の整備と個々人の健康の保持・増進活動など職場の労働安全衛生環境を整えることが必要不可欠であり、職場における安全衛生を推進するにあたって重要な役割を果たすのが、安全衛生に関する実務を担当する「安全衛生担当者」です。
本書では、地方公共団体の各職場で初めて安全衛生担当者となった職員を対象として、安全と衛生に関する基本的事項から実践に関する事項までをわかりやすく解説しています。
監修:前田労働衛生コンサルタント事務所 代表/独立行政法人労働者健康福祉機構神奈川産業保健総合支援センター産業保健相談員、労働衛生工学専門員
前田 啓一
我が国では少子高齢化による労働力人口の減少により、経験豊富な高年齢者の活躍が期待されていますが、高年齢職員は、加齢に伴う身体機能の低下により災害発生率が若年の労働者に比べて高く、被災した場合にその程度が重くなる傾向があります。
高年齢職員の災害を未然に防止するためには、高年齢職員だけでなく、ともに働くすべての職員が加齢による心身の変化について理解し、協力してその特性に応じた対策をすることが重要です。本書では近年の高年齢労働者の安全対策の動向や事例などを豊富なイラストとともに紹介しています。再任用時の教育・研修などでご活用いただけるのはもちろんのこと、すべての職員の災害防止に役立つ内容となっております。
監修:産業医科大学 産業生態科学研究所 作業関連疾患予防学研究室 非常勤助教/同ストレス関連疾患予防センター 特命講師
岩崎 明夫
地方公共団体にはさまざまな職場があり、すべての職場においてヒューマンエラーが重大災害の原因となる可能性があります。しかし、「不安全状態」や「不安全行動」などの事故の原因となる要素は、災害にならないと見過ごされてしまいがちです。災害を未然に防止するためには、職員一人ひとりがヒューマンエラーの特性について理解し、その特性に応じた対策をすることで、ミスやエラーの出現を減らし、ヒューマンエラーを事故に結びつけないことが重要です。
本書では、ヒューマンエラーの基礎知識から具体的な発生防止対策まで掲載しており、安全衛生担当者だけでなくすべての職員の方に幅広くご活用いただける内容となっております。
監修:早稲田大学理工学術院 創造理工学部 経営システム工学科 教授
小松原 明哲
熱中症は特有の症状が乏しく早期発見が困難な上、発症すると短時間で重症化することもありますが、正しい知識を持ち、しっかりと対策を講じることで確実に予防できます。
本書では、まず発生のメカニズムなどから熱中症について解説し、次に予防対策の基本的な考え方や、様々な職場の特性を踏まえた具体的な予防対策を紹介しています。
さらに、熱中症が発生した際の対応の流れやその具体的な方法も掲載しているため、熱中症対策にすぐに役立てられる内容となっています。
監修:産業医科大学産業保健管理学研究室教授
堀江 正知
ヒヤリ・ハットは、リスクを除去・低減し、事故を未然に防止するため、欠かせない情報です。そのため、ヒヤリ・ハット報告活動は地方公共団体においても早くから取り組まれています。しかしその一方で、「報告が集まらない」、「報告された事例の活用方法が分からない」といった声も多く聞かれます。
本書は、平成14年に発行された「ヒヤリ・ハット事例の活かし方」の改訂版として、ヒヤリ・ハット報告活動の仕組みづくりから具体的な活動の手順、他の安全衛生活動におけるヒヤリ・ハット事例の活用方法までを解説しており、安全衛生担当者や管理監督者がすぐに役立てられる内容となっています。
監修:早稲田大学理工学術院創造理工学部経営システム工学科教授
小松原 明哲
消防職員はその職務の特性上、活動には常に危険が伴います。また、凄惨な災害現場での体験により精神的ショックやストレスを受け、身体や心に不調をきたすおそれもあります。
本書では、このような厳しい状況下で活動する消防職員の皆さんが、心身ともに健康を保ち、適切に職務を遂行できるよう、安全管理の基本や取り組み方、健康管理・メンタルヘルス対策等についてわかりやすく解説しています。管理監督者や安全衛生担当者をはじめ、広く一般の消防職員にも役立つ内容となっています。
監修:新潟大学危機管理本部危機管理室/災害復興科学研究所教授
田村 圭子
屋外での作業には、気象条件や危険・有害な生物との接触など、屋内とは異なる危険が存在します。また、脚立や移動はしごの不適切な使用などにより、墜落・転落事故も多く発生しています。こうした災害を防ぐには、屋外作業に潜む危険を正しく認識し、職場全体で安全対策を講じる必要があります。
本書では、それぞれの災害ごとに、原因や予防対策、万一災害が発生した場合の対処方法などをわかりやすく解説しています。屋外作業に携わる職員の安全意識の再確認や意識の向上に役立つ内容となっています。
監修:東京大学 環境安全研究センター 准教授、医学博士
刈間 理介
日常生活に様々なルールがあるように、安全衛生活動にもルールがあります。
本書は、初めて安全衛生活動に取り組む方にも容易に理解できるよう、何が危険なのか、職場の安全を確保するためには何をすればよいのか、 安全衛生活動を組織として推進していくためにはどのようにすればよいのかなど、過去に発生した災害の実例やイラストなどを交えてわかりやすく解説しています。
安全衛生担当者のみならず、職員一人ひとりの安全意識の向上にも役立つ内容となっています。
監修 : 公益財団法人労働科学研究所常務理事・所長、研究主幹
酒井 一博